気が付けば24歳になっていた。
それなりの年だからそれなりに女性との関係をもったこともある。
なのに、だ


「女の感触ってどんなだっけ?」

情けないことにこれは本音だ。





こんなことを考えた発端はクリスとフェルトの女の子らしい会話を横で聞いていたから。
なんでもクリスは優しい人が好きらしく、その相談をフェルトに一方的にしていた。
そこに通りがかって巻き込まれた。
そんな甘酸っぱい話を聞いて自分の昔をふと振り返ろうとして上の発言に戻る。


確かそんなことをしたのは記憶が薄れるほど前の事。
なのにまだ現役な自分はそれを不満にすら思ってない。
最近は忙しくてそんなことを考える暇もないのだけれど。

「枯れるにはまだ早いだろ。オレ」
「何が枯れるんですか?」
「うおわっ!!」

いつの間にか目の前にティエリアが居た。
今居るのはラウンジなので誰が居てもおかしくはない。
けれど人と集まるのが苦手なティエリアはあまりここに来ないため、珍しさも相まって驚きが大
きくなった。

「失礼ですね。人を化け物のように」
「ははは、悪い。居ると思わなくて」
「そうですか。で、何が枯れるんですか?」
「うっ…」

ズバッと突いてくる。これぞティエリアクオリティー。

「いや、ジャンルが違うから」
「何を言ってるんですか」

現実逃避は許されないらしい。
じっと見つめてくる紅い目が痛い。


これをきっかけに少し打ち解けるかも知れない。
なんて期待を胸に思い切って質問をしてみることにした。

「ティエリアってさ、誰かと関係持ったことってあるか?」
「…………は?」

かなりためた上に"は?"ってきたよ。これはないよな。

「あーいや、悪い忘れてくれ」
「俺の質問にまだ答えて貰ってませんが」
「うん、大人には色々あるんだよ」
「子ども扱いはしないでください」

誰か助けてくれ。
なんて願いが届くはずもなく、誰も来てくれなかった。
刹那じゃないがこの世に神はいないな。

「…最近あんまり遊んでないなってこと」
「テロリストに休んでる暇はありませんから」
「だよなぁ」

はははと笑いながらこのまま逃げれればと必死で祈った。

「それに俺には必要ありませんから」
「無理だけはすんなよなー」
「でも、あの島はもう一度行きたいと、思いますよ」




ゆるりとティエリアは口角を持ち上げて、普段からは想像できない綺麗な笑みを浮かべた。




「………」
「何か付いてますか?」
「いや……あー、うん。あんま無防備になるなよ」
「意味が分かりません」
「俺もわからん」
「なんですかそれは」

本当になんなんだろう。


男に、ティエリアに、一瞬ドキッとした。
いや、見た目は女の子と言っても差し障りはないけれど。
ああ、この感覚は覚えがある。
けれど敵は多分無敵の戦艦だ。

「あーあ、オレ結局女の人に縁がないのかも」
「なんですか唐突に」
「とりあえず今度の休みどっかいかね?」
「…ヴェーダに作戦プランの相談があります」
「んじゃ、その後で」
「外は嫌いです」
「ここでのんびりってのもいいよな」
「お断りします」
「じゃあオレが勝手について回るさ」
「…ストーカー」
「何とでも言え」


枯れたわけではなかったようだけど、出番も当分なさそうだ。
それもどうよ。オレ。