にゃーにゃー


「猫だ」
「ホントだ。かわいいなぁまだ子猫だね」
「雷蔵のほうが可愛いぞ」
「うん、黙ってようね」
しくしく泣き始める三郎はまるっと無視して猫のほうへ行ってみた。
人懐こい質なのか鳴くばかりで逃げもしないその猫をそっと撫でてみる。
くるくると喉を鳴らすその様はとても可愛くて自然と笑顔になる。
「懐っこいな」
いつの間にか立ち直っていた三郎が手を差し出してきた。
が、子猫はその手を見るだけですぐに私に擦り寄ってきた。
「……猫の分際で雷蔵に甘えるとはいい度胸だ」
「ちょ、何猫に威嚇してるの」
そう言いながらも撫で続けているとご丁寧に三郎に背中を向けて私にお腹を見せてきた。
「……」
「………」
隣の空気が一気に凍りついた。
春も過ぎるというのにプチ極寒体験しながら猫の毛並みを楽しんでいると、後ろに馴染んだ気配を感じた。
「雷蔵、三郎。何やってんだ」
「良い所に来たハチ。このむかつく猫をすぐに連れて行け」
「ん?こいつ委員会の猫じゃないぞ」
「じゃあ野良なのか、お前」
「三郎は何を怒ってるんだ?」
不機嫌丸出しの三郎は説明する気なんかまったくないらしくて私が簡単に説明した。
その間も猫は気持ち良さそうに私に撫でられている。
なんか、この猫を見ていると誰かを連想できる。
ハチも一緒に撫でようと手を伸ばすと、猫はじろりと一睨みしてその手に噛み付いた。
「ハチっ!?」
「いや、甘噛みだから平気。だけどなんか…」
「なんか?」
ちょっと意地悪な顔をして三郎を見ながら、
「なんかこいつ三郎に似てないか?」
と言った。
「はぁ?私はこんな嫌な奴じゃない!!」
三郎は心底嫌そうに言い返していたけれど私はすごく納得した。とゆうかすっきりした。
誰かに似ていると思ったのは三郎に似ているからだ。
警戒心が強くてちょっと意地悪で、私に懐いてくれるとこ。そっくりだ。
「うんそっくりだね」
「雷蔵まで!!」
猫を三郎に例えたせいかなんとなく三郎に耳が見える。しかもなんかしゅんとしてる。
「それじゃ、この子は生物委員に任せるとして、私はこのおっきな猫をあやそうかな」
「おー、そうして貰え。じゃあこいつ預かるな」
「よろしくね」
「私は猫じゃないぞ!!」
毛羽立ってるように見えて、それはハチも同じらしくて2人して笑った。
木の傍から立ち上がって三郎に手を差し出した。
「さて猫さんや。お饅頭でも食べに行きませんか?」
「…行く」
おっきな猫のほうが可愛いなと思いながら2人で食堂へ向かった。




***

兵助出し損ねた
多分あいつは豆腐を求めて3千里とかしてるんですよ。