気に食わないことが最近ある。
私が手塩を掛けて育てて来た部下に良い人が出来たらしい。
普通なら喜んでいじるネタにするところだけど、その相手が悪い。
なんだって敵の忍者なんかに嵌るんだ、あの子は。


その事に気付いた1日目。
「ただいま帰りました」
「おかえりー。ちゃんと書類届けれた?」
「組頭。子供のお使いじゃないんですから…」
「ごめんごめん。で?」
「ああ、はい。ちゃんと届け終わりました。少し考える時間をくれとの事です」
「分かった。お疲れ様」
朝帰りをするも、忍務のため異常なし。

2日目。
「はいはい。そこ邪魔なんで退いて下さい」
「うう、休日のたびに邪魔者扱いされるお父さんの気持ちだよ」
「本当に邪魔なんですからあながち間違いではないですよ」
「でもそろそろおやつにしない?」
「そうですね」
休日で一緒に居たから異常なし。

3日目。
「敵方の勢力は…」
「およそ同等。忍はこちらが幾分上なぐらいですが」
「うん、じゃあお前はここね」
「分かりました」
小さな戦のために出動。敵は例の忍者がいる城で要注意。
ばれない様に重要でも例のは来ないだろう所に配置させる。
しかしながら若干の不安。

4日目。
「なんか無駄に疲れちゃった。尊〜お茶〜」
っていない。
戦が終わったのは夕暮れ時で今は太陽も眩しい早朝。
事後処理はあっちの方が遥かに簡単なのに。
まさか。
「ただいま帰りました。あ、遅くなってすみません」
「…なにしてたの?」
「ちょっと色々ありまして」
てへへと笑うこの子に違和感。
「ちょっとそこに座んなさい」
「はぁ…」
聞かないでおこうかと思ったけれど、こうなったら聞いてやる。
「お前、ドクササコの凄腕と付き合ってるの?」
「あ、はい。そうです」
すごくあっさり返事が返ってきた。
「あ、でも大丈夫ですよ」
何がと聞き返したらはにかむ様に笑って。
「たとえば戦場で出会っても、きちんと殺してくれるって」
「……お前は殺さないの?」
「戦っても勝てませんから。それにあの人の手にかかれるなら本望ですよ」
可愛がっていたこの子はいつの間にか忍道よりも暗い修羅の道を選んでしまった。
嗚呼、どうかこの子の歩む道が少しでも平坦であらんことを。


(いつか挨拶に来させなさいね)
(え?来てもらって良いんですか?)
(うん、話すこともあるしね)